ものづくり補助金

【補助金】ものづくり補助金の審査体制

ものづくり補助金の効果分析:回帰不連続デザインを用いた分析

今年の6月に経済産業省所管の独立行政法人経済産業研究所より「ものづくり補助金の効果分析:回帰不連続デザインを用いた分析」という「ものづくり補助金」の効果を分析したディスカッション・ペーパーが公表されています、

https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/20060007.html

このディスカッション・ペーパーは経済産業省からの要請に基づいて補助⾦の採択事業となることの効果を推計したものですが、結論的には、補助金採択者に特別の何かがあるという結論は得なかった結論づけています、

アウトカム変数は、⼯業統計調査(⼀部は経済センサス-活動調査)の調査票情報に記⼊された従業者数と有形固定資産額、調査票情報から算出された従業者⼀⼈当たり付加価値額と付加価値額のそれぞれの補助⾦採択の前年から 3 年間の平均伸び率とした。メタ分析の結果によると、同補助⾦の採択事業者と⾮採択事業の間でアウトカム変数の統計的に有意な差は⾒られなかった(正⼜は負の政策効果があるとは⾔い切れない)。

独立行政法人経済産業研究所「ものづくり補助⾦の効果分析:回帰不連続デザインを⽤いた分析」1ページ要旨 抜粋

興味のある方は上記のリンクからDLして読んで頂ければと思います、

今回は、そのディスカッション・ペーパーの中に「ものづくり補助金」の実際の審査について語られているので、そこを紹介したいと思います、

ただし、H29年度以降は此処で語られている審査方法そのものではないようなので、その点はご注意を、

H28年度までの審査方法

各事業者による申請は、各都道府県毎にある地域事務局に設置された地域採択審査委員会において、事業内容の技術的新規性等の「技術⾯」、事業としての市場性等に関する「事業化⾯」の得点が付けられ、各経済産業局及び沖縄総合事務局において、政策の⽬的に照らした妥当性などに関する「政策⾯」の得点が付けられた。これら 3 つの得点が合計された評価点が算出された。各地域採択審査委員会は書⾯審査結果を基本として案件の順位付けを⾏い、全国採択審査委員会に提出し、全国採択審査委員会は、採択ボーダーライン近傍の案件を再審査し、最終的な採択案件が決められた。採択ボーダーライン近傍の案件のみ多くの審査員が評価することで、審査コストを抑えつつ事業計画の審査を精緻化することが⽬的であった。ただし、再審査の際、採択の可否のみを⾒直し、点数を再評価することは⾏わなかった。なお、上記の審査⽅法は、平成 29 年度事業以降は実施されていない。

独立行政法人経済産業研究所「ものづくり補助⾦の効果分析:回帰不連続デザインを⽤いた分析」4・5ページ 2.平成 24 年度及び平成 25 年度ものづくり補助⾦の概要 抜粋

要は次のような流れとなっています、

1.各都道府県の「地域採択審査委員会」において下記評価(スコアリング)
・事業内容の技術的新規性等の「技術⾯」
・事業としての市場性等に関する「事業化⾯」

2.各「経済産業局」及び「沖縄総合事務局」において下記評価(スコアリング)
・政策の⽬的に照らした妥当性などに関する「政策⾯」

3.各「地域採択審査委員会」は書⾯審査結果を基本として案件の順位付けを行い、「全国採択審査委員会」に提出

4.「全国採択審査委員会」は、採択ボーダーライン近傍の案件を再審査し、最終的な採択案件が決められた、

また、再審査についての記載も脚注にあります、

再審査の対象となる評価点の範囲は、各公募次により異なる。具体的には、平成 24 年 1 次公募 2 次締切では各都道府県の中で上位 32%から 40%に位置する案件、平成 24 年 2 次公募では上位 43%から47%、平成 25 年 1 次公募 1 次締切と 2 次締切では上位 35%から 39%、平成 25 年 2 次公募では上位28%から 32%が再審査にかけられるとなっていた。ただし、それらのボーダーラインは予算残額等により変更され得ることが明記されていた。

独立行政法人経済産業研究所「ものづくり補助⾦の効果分析:回帰不連続デザインを⽤いた分析」4ページ 2.平成 24 年度及び平成 25 年度ものづくり補助⾦の概要 脚注

つまり、各審査毎にボーダーが設定されていて、そのボーダーに乗ったリストについてのみ「全国採択審査委員会」による精緻な審査が行われるということです、

なお、複数のweb情報では各都道府県の「地域採択審査委員会」は中小企業診断士や税理士による5名体制のようです、

H29年度以降は審査の何が変わったのか?

正直なところは良くわかりません、

ただし、抜本的に審査体制を変えることは前例主義のお役所としては考え難いと思います、何処かの認定支援機関の方が、“全国一律だったボーダーの設定が都道府県ごとになったのではないか?”と推測されていました、

なるほど、私もその程度の変更なのではないかと思います、

認定経営革新等支援機関が教える やってる会社はやってる、補助金を貰うために先ずすべきたった1つのこと